薬草歳時記 桃の花

 

葛飾や桃の籬も水田べり 水原秋桜子

季語は桃の花で春、は「まがき」で、垣根のこと。この句についての秋桜子のコメントが残っています。「私のつくる葛飾の句で、現在の景に即したものは半数に足らぬと言ってもよい。私は昔の葛飾の景を記憶の中からとり出し、それに美を感じて句を作ることが多いのである」。この句が作られた頃(昭和初期)にはすでに葛飾は開発されており、作者の心象風景からの句といえます。

昔から「桃栗三年柿八年」といい、樹の成長が早くて三年目には開花結実しますが樹勢の衰えも早く、五年も経てば老境に入り十年で寿命が尽きるそうです。桃を庭に植えると病人が出るとか、早死にするという俗信は、そのためでしょう。

薬用に供するのは種子。果肉を食べ終わった後に残る塊状の種子を「桃仁(とうにん)」といいます。桃仁には脂肪油、アミグダリンなどを含んでおり、漢方では消炎、鎮痛などの目的に使う。

代表的な処方としては、「桃核承気湯」「桂枝茯苓丸」など婦人病に用いる。

 

 
 

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