下痢に効く漢方薬として多くの医師が半夏瀉心湯を処方します。効果を患者さんに尋ねてみると全く効果がないわけではないようですが、効果がなかったという声を耳にします。半夏瀉心湯があまり効いていないのはなぜでしょうか?理由は半夏瀉心湯は心窩部(みぞおちの辺り)に痛みのある患者の下痢に用いると原典に書かれているからです。下痢といっても症状は様々ですし、本人の体質も様々です。全ての患者に半夏瀉心湯を処方しても効くはずがありません。
下痢に効く漢方薬の特徴をまとめてみました。
1)体質的に冷え症の方
【真武湯(しんぶとう)】
体から余分な水分を出す効果があります。腎機能が落ちている方におすすめです。夜間にトイレに起きる方にはお勧めです。体を温める作用が強いので、もともと冷え性であったり、体温が低い方に向いています。
【人参湯(にんじんとう)】
もともと冷え性であったり、体温が低い方に向いています。胃腸に冷えを感じる方にはお勧めです。薬用にんじんの力によって、胃腸の働きを高めてくれる効果があります。余分な水分を追い出したり、消化をよくする作用もあります。
2)食欲不振の方
【六君子湯(りっくんしとう)】
胃腸の働きをよくして、胃もたれや食欲不振の方の下痢を改善してくれる漢方です。胃に水が残っているような感じにはよく効きます。
3)吐き気を伴った下痢
【五苓散(ごれいさん)】
体内の水分の循環を改善してくれる効果があると考えられています。下痢のほか、頭痛や嘔吐、吐き気などにも効果があります。利尿作用があります。
4)腹痛をともなった下痢
【桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)】
下痢や便秘を繰り返したり、お腹の痛みが強い方に効果があると言われています。体を温める作用も強いため、普段から体力がない、血行が悪いと感じている場合におすすめです。 芍薬には筋肉のけいれんを抑える働きがあります。過敏性腸症候群にも効果があるといわれる漢方です。
5)みぞおちに痞えを感じる方
【半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)】
心窩部(みぞおちの辺り)に痛みのある患者の下痢、胸のつかえた感じ、むかむか感がとれます。二日酔いのむかむか感にもよく効きます。
漢方では「どんな体質なのか」「症状はどうなのか(冷えているのか、熱をもっているのか)」ということを確認した上で処方を決めて行きます。漢方処方の選び方が間違っていれば、期待する効果を得ることができなくなってしまいます 。
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